雨宮処凛「生き地獄天国」/凄惨すぎる自伝

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現在、フリーター等プレカリアート(不安定層)問題について運動、執筆し、注目される著者の自伝。息苦しい世の中で死なないために。激しいイジメ体験→ビジュアル系バンド追っかけ→自殺未遂→新右翼団体加入→愛国パンクバンド結成→北朝鮮、イラクへ→右翼をやめるまで。文庫化にあたり、その後現在に至るまでを加筆。

p9
運が良かったらパシリ程度で済むけど、悪かったら、殴られたり蹴られたり、ダーツの的にされたりする。給食には、いつも消しゴムのかすや埃がのせられて、そのうえ雑巾を絞った水までかけられる。お腹がすいてたまらなくてゴミを選り分けて少し食べると、みんなが私のことを笑う。

アトピー性皮膚炎が原因でいじめられていた学生時代、ただ、いじめっ子に直接聞いたわけではないので本当にそれが原因かはわからないようでした。

p20
もう私は他の人とは違う。学校にいる、私をイジメることで何かを保とうとしているような、くだらない奴らとは違う。
私の存在を初めて認めてくれたのは、親でも先生でも同級生でもなく、ビジュアル系バンドの音楽と、私と同じような女の子たちだったのだ。

いわゆるおっかけというやつです。大人になってからこういう過去を公開するのはだいぶはずかしいでしょうね。

p21
私の命より大事なCDは目の前で割られ、ポスターや写真はビリビリに破かれた。それだけでも堪えられないのに、両親は、もう二度とライヴなんか行くな、マキたちとも絶対に会うなと言う。

読んでいて胃が痛くなるようなエピソード。学校だけでなく家にまで居場所がないというのは想像できない苦しみですね。

p26
私は泣きながら日記を取り返した。近くにあったポットや湯呑を手あたり次第壁に投げつけた。テーブルを引っ繰り返し、絨毯を剥がし、そして母の首を思い切り締めた。人を殴って、自分の手も痛くなることに驚いた。顔の肉は油っぽくて、骨はゴツゴツしていて、母の顔がみるみるうちにくしゃくしゃになって、また笑っていつのかと思った私は、髪を引っ張りながら、さらに強く殴り続けた。
母は私の前でぐったりしていた。やっと大人しくなった。

洒落にならないエピソードですが自伝なので現実です。ちなみに母親は死んでいません。引く人もいるかもしれませんが、雨宮さんはここまで追いつめられていたのでしょう。

p31
打ち上げ場所では目立つように派手でいやらしい恰好をしたし、さり気なく飲みに誘ったし、接点がなければ、自分からホテルの部屋まで押しかけて、セックスしてもらった。

ビジュアル系バンドのメンバーたちといやらしいことをしたという過去の暴露です。バンドマンからセックスしてもらったという事実がステータスとなっていたそう。よくこんなこと本に書けるなと思いました。

p53
目白にある予備校にも、もうずっと行っていない。学科をデザイン科から日本画科に変えたり、毎日実技試験のためのデッサンばかりしているカリキュラムに疑問を持ったり、美大に入っても人形作りなんてできそうもないことがわかってきたり、そんな余計なことばかり考えていたせいで、私は二浪もしてしまっていた。

とある作家さんの人形に心を打たれて、人形作りをしようと決めていたそうです。ですが、そう簡単にいくはずもなく。

p73
私はもう、人間なんかとは関わりたくない。私はこうやって、私の見方を増やしていこう。私と人形だけの楽園を、この部屋に作ろう。その中でだけ、生きていたい。小さな部屋で人形を抱きながら、私はそんな決意をした。

結局、アトピー性皮膚炎が原因で人形の道には進めなかったそうです。完全に心を閉ざしてしまいながらも、将来はライターとして社会に順応できてる雨宮さんは不思議な存在に感じます。

p106
私が、この国に生まれたということ。それは紛れもなく、この国を建て直すという使命をまっとうするためだ。私には、このうるわしい日本の歴史を守り抜くという義務ある。それが、輪足がこの国に性を授かったことの真の意味だ。日本の伝統、狂信的な民族主義、絶対的な指導者。そして、それら日本のすべての良きものの象徴、天皇陛下と私は一体であるということの重み。

右翼に傾倒したお話。今は右翼からは抜けたそうですが、ほんとに波乱万丈な人生ですね。

p277
私は、みんなが縛られているその基準が、「この夏頼れるのはこのファッション!」とかじゃなくて、高尚な国家目標である北朝鮮が羨ましい。それが率直な気持ちだ。
もちろん私は北朝鮮の、いちばんいいところしか見ていない。でも、私はあの国に生まれていたら、国のために死ねるような気がする。今の日本のためには、絶対に死ねない。

悪評高い北朝鮮に実際に行ってみたら素晴らしい国だったというエピソードです。この本では絶賛されてますが、あとがきでは「そんなでもなかったかな」と絶賛を取り消しています。何事も、自分の目や耳で感じてみることは大事ですね。
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雨宮処凛さんの自伝的小説です。激動の人生すぎて疲れている時にはあまり読みたくない本ではありますが、読み応えはすごくあります。このブログでは雨宮さんの本をいくつか引用させていただいていますが、迫力があっていい本を書く方ですね。

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