岡田斗司夫「どうしてコンテンツにカネを払うのさ?」/知っておきたい著作権の話

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著作権って何?
どうして必要なの?
自分で本を自炊すると著作権違反になるの?
著作権がないと面白い作品は生まれない?
TPPに参加すると著作権はどうなる?
デジタル時代に生じる素朴な疑問をめぐって、気鋭の弁護士、福井健策と評論家の岡田斗司夫が対談。
話題は電子書籍の自炊から、コンテンツのマネタイズ、国家とプラットホーム、情報と経済の新しいあり方まで、
縦横無尽、とんでもないところに飛びまくる!
岡田斗司夫の大胆な発想に、福井弁護士はどう答えるのか!?
本書を読めばデジタル時代の著作権との向き合い方、そして未来が見えてくる。

p25~26(本を外注業者に依頼してスキャンすることは違法かどうかの話)
岡田 自分自身で自炊して、バイトを雇うくらいだったらOKだけど、スキャン代行業者に外注することは問題ということですね。スキャン代行業者に外注した場合、法律違反になり得るのはどちらなんでしょう? 依頼した方? 依頼を受けた方? それとも、両方?
福井 ネットメディアの取材でもこの質問をされたのですが、なかなか答え方が難しいですね。もし裁判になったとしたら、いちばん責任を問われるのは事業者でしょう。今のサービスの形態を変えない限り、違法の可能性が高いと思います。依頼したユーザーについては純法律的にいえば、私的複製に当たらない複製作業を他人に依頼したわけなので、状況によっては著作権侵害の責任を問われる可能性はあります。ですから、「罰せられることはない」と言い切ると嘘をついたことになってしまい。でも「理論的には罪に問われることもありえる」という表現にとどめておきたいですね。

紙の本を全ページスキャンしてデジタル化することを自炊と言います。今はまだ本といえば紙というイメージがありますが、世の中がどんどんデジタル化していくと紙の本がなくなる可能性があります。持っている本をデジタル化する場合は私的複製になるのか、法律に抵触するかの話は知っておくといいかもしれません。

p30
岡田 あるいは、法律の定義が緩やかな国にスキャン代行を外注したらどうなるのでしょう?
福井 む? その場合、依頼行為と電子データの受信は日本で行われるわけだけど、複製や電子データの送信がされるのは主に海外ということになりますね。ちょっと微妙な問題ですが、おそらく主な行為が行われる海外の法律が適用されることになりそうです。

ネットを使うと海外との関りを簡単に持つことができます。よく知っている例だと5ちゃんねる(昔は2ちゃんねる)のサーバーが海外にあるため、書き込まれた内容が日本の法律に抵触するものであっても海外の法律が適用されます。ネットの世界では海外をうまく使うことで色々なことができるようになりそうです。

p35
岡田 (略)僕は、紙の本をデジタル化したら、元の紙の本は破棄しなければいけないと思っていたのですが、それは違うんですか?
福井 現行法は違うんです。今、私的複製として許されるかを判断する時、元の著作物がどうなるのかについては問われていません。例えば、CDの私的複製はおそらくほとんどの人がしたことがあるでしょう。コピーした後でCDの方を手放したとすると、クリエイターに対価還元なく流通するコンテンツだけが増えたことになる。でも、現行の著作権法の解釈だとおそらくそれは許されているわけです。

買ってきたCDをパソコンに取り込んでMP3にするのも複製の一種です。もしかすると著作権法に違反するのではと思っている人もいるのではないでしょうか。実際のところは許されているとのことです。

p77~78
日本ではパロディや二次創作が氾濫しているように見えるかもしれませんが、それは「著作権者が把握していない」か「規模が小さいからお目こぼしされている」か「著作権者の許可を取っている」のいずれかでしかないはずです。
許可を取った上でのパロディというのは欧米的な文脈ではなかなか成立しづらいですよね。本来パロディというのは批判であり、批評ですから。カネを払って許可を取った上で、パロディをやるというのはおかしな話なんですが、日本では二次創作者に「愛」があることが多いので何とか成立しています。パロディというよりオマージュだから、許可を取ろうと思えば取れるケースも多いんですよ。だから、「お目こぼし」も多いし、大きな問題にはなっていないのですが、当然ながらオマージュが二次創作のすべてではありません。

コミックマーケットや同人があるから二次創作は合法だと思われがちですが、実は違法です。もしも訴えられたら確実に負けてしまいます。二次創作をするのであればこの辺りのことを知っておいた方がいいでしょう。

p81
福井 ゲームに関していえば日本は輸出国ですが、その他の映画や音楽、雑誌、書籍については輸入超過の状態が続いています。コンテンツ産業に関して、日本やカナダは「遅れてきた先進国」というべき位置づけで、(日本は)著作権収支だけで年間5000億円もの文化輸入国なんですね。少なくとも、金額ベースでみる限り、これは事実です。

海外では日本のNARUTOやワンピースといったマンガがよく読まれているため輸出している立場かと思いきや、データ上はそうではないようです。一部のマンガが目立っているだけで翻訳された本や洋楽の輸入の方がはるかに多いとのこと。映画に関してはディズニーやハリウッド映画など日本より海外の方が強いですね。

p89
福井 (略)最近はコンテンツを流通させるプラットフォームがかつてないほど強くなっています。従来であれば、大出芸能プロダクションや出版社、あるいは作家など、いわゆるコンテンツホルダーが力を持っていたわけですが、状況はかなり変わりました。現在はコンテンツを流通させるプラットフォームを提供しているアマゾンやアップルなどが極めて大きな力を持っています。
今後は、コンテンツの囲い込みや、契約条件を巡る戦いでも、プラットフォームを握っている側が有利に事を進めていくことになっていきそうです。

モノづくり産業においてはクリエイターが一番偉く、次に読者、最後に流通というイメージでした。しかし今の世の中では流通がクリエイターよりも力を持っています。言うなれば本屋や映画館がとても強い世の中になっています。

p116~117
福井 CDなどのレコード総生産額は1998年に6000億円あったのに、現在は2000億円程度しかありません、10年ちょっとで4割以下にまでおちてしまいました。これは、普通に考えればパニックが起きます。
出版業界はそこまでひどくありませんが、書籍・雑誌の販売額は下がり続けています。10年前に2兆5000億円と言われた販売額は2009年には2兆円を割り込みました。特に、雑誌の落ち込みがひどい状況です。
このような状況の中で、ライブイベントと映画館は落ちていません。ライブイベントに関しては微増です。ぴあ総研によれば、ライブイベント関連の販売額は日本国内で約1兆円。ここには主要スポーツとテーマパークも含まれますが、アマチュア系イベントはごく一部しか含まれていませんし、お祭りなどの経済波及効果も考慮されていませんから、実際の産業規模はもっと大きいと推測できます。

ネットの発達によってCDや本をアナログで楽しむ人はだいぶ減りました。具体的な数字のデータを見てみると驚きます。その一方でライブイベントなどは変わっていないということは、会場の熱気や空気感、雰囲気などはデジタルでは代用できないと感じている人が多いことの表れだと思います。

p154~155
岡田 コンテンツホルダーやクリエイターの話に戻るけど、僕自身も物書きとして今いちばん切実に問題として感じているのは、違法コピーが氾濫しているとかそういうことではないんです。
コンテンツホルダーやクリエイターを圧迫しているのは、海賊版とか違法コピーとかじゃなくて、無料の作り手がこんなにいるという事実そのものなんですよ。

ネットを探せばたくさんのイラストが見つかりますし、無料で色んな小説を読むこともできます。ボーカロイド以降、音楽も無料で楽しめることが多くなりました。この状況では本や音楽が売れないというのも当然かもしれません。無料で作品を提供している人たちの中にはプロ並みの技術を持った人も多いです。漫画村などの違法サイトが問題になっていますが仮に違法サイトがなかったとしても本が売れない状況は変わらないのかもしれません。

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著作権のおかげでクリエイターたちは仕事を失わずに済んで、次々と新しいものをユーザーに送り続けられる。その一方でジャスラックみたいに著作権のせいで自由に動けなくなってしまう。いい面と悪い面のある著作権についてもっと深く知るにはいい本でした。ネットの発達によって著作権が関わる事例が増えたように感じますし、軽くでもいいので勉強しておいた方がいいのかもしれませんね。

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